10月の宮城県知事選は、交流サイト(SNS)で候補者に対する批判や応援が飛び交った。県外を含む1日数万件もの投稿には、投票行動に影響を与えかねないデマや中傷も含まれた。「SNS劇場型」とも言える選挙の流れが加速している。

 宮城県知事選で6選を果たした村井嘉浩氏に関するX(旧ツイッター)の投稿(ポスト)を分析したところ、告示前から「水道」「土葬」など村井氏への批判や中傷、誤情報に関連する単語が頻出していたことが分かった。村井氏側の反応や知事選を巡る動きがあるたびに投稿数は急増。反論しても、それを大きく上回る勢いでポストが続いた。

 県による水道事業の一部民営化や、イスラム教徒向け土葬墓地整備の一時検討は、広く保守層の反発を招いていた。知事選では、参政党と連携した新人の元自民党参院議員和田政宗氏が善戦。各地からの攻撃的な投稿が、一部有権者の「反村井感情」を増幅させた可能性もある。

 共同通信がNTTデータの交流サイト(SNS)分析サービス「なずきのおと」で集計した。6月1日から知事選投開票日の10月26日の間、村井氏へ言及したポスト計117万件を抽出。1日当たり最大約1万件を対象に頻出語句も解析した。

 村井氏を巡る投稿は集計当初は1日平均235件だった。だが7月13日、参政の神谷宗幣代表が仙台市の街頭演説で「県が水道事業を外資に売った」との趣旨の主張をし、県が誤情報だと抗議した同15日に1900件に増加した。

 さらに村井氏が「表現の自由の域を超え、許されない」と神谷氏を批判した16日は1万9千件、17日は3万1千件と大幅増。その後も断続的にポストが急伸し「売国奴」や「メガソーラー(大規模太陽光発電所)」など非難やデマに関連する語句がよく見られた。

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