第35回出町浄瑠璃大会が23日、富山県砺波市出町子供歌舞伎曳山(ひきやま)会館で開かれ、県指定無形民俗文化財「出町子供歌舞伎曳山祭」の担い手ら16人が出演した。長年祭りを支えるとともに後進育成に努め、今年7月に亡くなった浄瑠璃三味線奏者の松村幸子さん(享年78)に感謝の気持ちを届けようと、出演者は思いを込めて演目を繰り広げた。

 出町子供歌舞伎は230年以上の歴史がある。大会は砺波子供歌舞伎曳山振興会が毎年開き、継承する同地区の西町、東、中町の住民らが出演した。

 松村さんは1991年から曳山祭や浄瑠璃大会の舞台に立ち、2001年から12年間は出町地区唯一の奏者として活躍。子ども向けの教室を開くなどして後継者の育成にも力を注いだ。14年からは鷹屋恒一さん(55)らと三味線を担ってきたが、がんを患い、22年が最後の大会出演となった。

 今回は、松村さん宅で毎週開かれていた出町三味線教室で稽古を積んだ4人による「かぶとびき」「木登り」などのメドレーで幕開け。浄瑠璃「釣女」や「寿式三番叟」では、教え子の鷹屋さんらの三味線伴奏と太夫の情感込めた語りで来場者を魅了した。

 出演者の一人、三辺(みなべ)凌也さん(31)は小中学生の頃に松村さんから三味線の手ほどきを受け、社会人になってから再び指導を受けた。「先生であり、『第2のおばあちゃん』のような存在だった」と思い出を振り返り、「今回の演奏はまだまだ。褒めてもらえるよう頑張らなければ」と気を引き締めた。

 三味線教室は鷹屋さんら有志が運営を引き継いでいる。松村さんは生前、「地元の人で地方をそろえて継承していきたい」と口にしていた。鷹屋さんは「芸能の世界の入り口として三味線に触れ、興味を持ってもらいたい」と遺志を受け継ぐことを誓った。