【ブラジル・サンパウロで政経部次長・谷井康彦】ブラジル県人会創立65周年記念式典は9日夜(日本時間10日朝)、サンパウロ市で開かれた。県の訪問団(団長・新田八朗知事)やブラジル各地から集まった県人ら約200人が歩みを振り返り、節目を祝った。2011年から会長を務め、25年度で退任予定の市川利雄氏(77)に知事が特別感謝状を贈った。
式典はブラジル愛知県人会館で開かれ、市川会長が「富山県と県人会は深い絆で結ばれている」とあいさつ。訪問団の参加に感謝を示した上で27年の県人入植100周年に触れ「節目を契機とした交流の在り方について意見交換できてうれしい」と述べた。
新田知事は祝辞で「本日の繁栄を築いた先人、その思いを引き継いできた会員の皆さまに深く敬意と感謝を申し上げる」と県人会の果たしてきた役割を強調。ウェルビーイングを柱にした県政運営を説明し「皆さんが自身のルーツを誇りに思えるよう努力を重ねる。多くの人々に幸せを届けられるよう共に新たな道を切り開きましょう」と呼びかけた。県による記念表彰があり、知事が市川会長と、県と同州の交流に尽力した10人に感謝状を贈呈。異郷での長年の努力をたたえ、75歳以上の18人には高齢者賞詞(感謝状)を贈った。
式典には鈴木誉里子サンパウロ日本総領事、ブラジル日本都道府県県人会連合会の谷口ジョゼ会長らが出席。祝賀会では、武田慎一県議会議長の発声で乾杯し、懇親を深めた。
式典に先立ち、訪問団は19年に改修工事を終えた市内の県人会館を視察した。県と富山、高岡両市、県南米協会が助成した。
県人は1910(明治43)年からブラジルに移住し、27(昭和2)年から開拓を伴う入植を始めた。移住から半世紀後の60(昭和35)年に、移住者同士の交流を深めるため県人会を設立。留学生の送り出しや海外技術研修生の受け入れ、親睦行事、国内イベントでの県のPRなどに取り組んでいる。