この9月、福島県立郡山高校を訪問し、「教育コース」を選択している生徒約80人に「教育の厳しさと優しさとは何か」と題して講演をし、教師の仕事の魅力やこんにちの日本の教育を巡る問題・課題などについて、一緒に考える機会がありました。
▽教育を学ぶ自主的集団
近年、教員のなり手不足が全国的に深刻さを増しています。全日本教職員組合(全教)の調査によると、病気休職や産休・育休で生じた欠員を埋められないなど、昨年10月時点で少なくとも34都道府県・11政令市の公立学校で4700人超が足りていません。
地元の報道などによると、福島県では教員採用試験の2025年度実施(26年度採用)の志願倍率が2・3倍と、12年度以降で最低を記録。特に小学校課程では1倍台の地域まで出現しており、質の低下が危ぶまれています。
志望者不足の解消のため、全国の自治体では大学3年時から教採試験受験可としたり、受験科目を減らして負担を少なくしたりと対応に苦慮しています。
今回訪れた郡山高校の「教育コース」では、多くの自治体で行われている教員免許の取得や受験のハードルを下げる対策とは違った角度からアプローチをしていました。
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