富山県高岡市の工芸やまちの魅力を満喫できるイベントが20日、伝統的な街並みが残る山町筋や金屋町など高岡市中心部で行われ、多くの人でにぎわった。

市場街、展示販売やワークショップ

 クラフトとアートの総合イベント「市場街2025」は市中心部などで始まった。高岡の職人や作家による展示販売やワークショップなど多彩な出店やイベントがあり、来場者がものづくりのまちを堪能した。23日まで。

 歩行者天国となった山町筋ではマルシェ「ものの市」があり、45店が出店した。銅製品や陶器、革製品、アクセサリーなどのクラフト販売のほか、飲食店も多数並んだ。高岡伝統産業青年会は鋳物づくり体験のワークショップを行った。マルシェは21日まで。

 山町筋の飲食店7店が期間限定の新メニューを販売する「味趣(みしゅ)の乱」や、市内17社のものづくり工房を見学できる「オープンファクトリー」もあった。

 市場街は、市や富山大芸術文化学部、同青年会などによる実行委員会が毎年秋に開いている。

鋳物文化の魅力体感 ミラレ金屋町、工芸展や着物ショー

 金屋町の町並みや鋳物文化を楽しむイベント「ミラレ金屋町」が同町の石畳通り周辺で始まった。伝統的な町家での工芸展示や、町をかたどった模型にお気に入りの場所を記していくワークショップなどがあり、来場者がものづくりの歴史が息づく町の魅力を体感した。21日まで。

 地元自治会や富山大芸術文化学部などでつくる実行委員会が2018年から開いている。

 同学部の学生は着物ショー「MIRAREこれくしょん」を企画。日本の過去から未来までの各時代をモデル19人が着物や髪型、メークで表現し、石畳通りを練り歩いた。沿道から大勢の人がカメラを向けていた。

 雑貨やアクセサリーの展示販売、鋳物や蒔絵(まきえ)の体験などもあった。北日本新聞社後援。

山町筋の風情楽しむ 土蔵造りフェスタ、クラシックカー40台並ぶ

 土蔵造りの町並みを舞台にした「高岡山町筋土蔵造りフェスタ」は、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている山町筋一帯で開かれた。来場者は歩行者天国になった風情ある通りを散策し、クラシックカーの展示やマルシェ、音楽ライブを楽しんだ。

 クラシックカーは約40台並んだ。家族連れらが興味深そうに見入り、写真を撮ったり運転席に座ったりした。キッチンカーの出店や呈茶など多彩な催しがあった。能登半島地震の復興支援で輪島市や珠洲市の6事業者が出店し、名物のグルメや珠洲焼などを販売した。

 高岡市内から訪れた兵田由美子さんは「イベントをすることで、いろいろな世代が集まれていいと思う」と話した。

 土蔵造りのある山町筋まちづくり協議会(西島美幸会長)が毎年開き、25回目。今年は従来の8月から、初めて市場街と同時開催した。北日本新聞社共催。

ゆかりの若手作家10人がグループ展 絵画や造形59点

 高岡市ゆかりの若手作家でつくるアートグループ「高岡で澄む」の展覧会が、市土蔵造りのまち資料館など山町筋周辺の5カ所で始まった。個性が光る絵画や造形など10人の59点を紹介している。23日まで。

 漆芸や鍛金、インスタレーションなど多彩な作品がそろった。木村美咲さんは高岡の風景を油彩で木製パネルに描き、掛け軸にして床の間に飾った。高木峰香さんは犬を題材に平和で明るい雰囲気を日本画で表現した。

 市場街に合わせ、レストランや空き店舗などで開いた。「高岡で澄む」代表の畦地拓海さんは「会場ごとの空気感と作品のコラボレーションを楽しんでほしい」と話した。北日本新聞社後援。