富山県南砺市の秋を彩る第73回城端むぎや祭が14日、同市城端地域中心部で開かれ、「越中の小京都」と呼ばれるまちに哀調を帯びた音色が響いた。城端に五箇山から麦屋節が伝わって100年の節目を記念し、ルーツの一つとされる能登麦屋節の保存会を石川県輪島市から招待。大勢の観光客が原点を再確認しながら、心に染み入る素朴な調べを堪能した。
むぎや踊り競演会は、城端別院善徳寺と城端伝統芸能会館じょうはな座で開かれ、町内や団体ごとに「麦屋節」や「古代神」「四竹節」などを披露した。紋付きはかまの男性は切れのある動きで、着物姿の女性はしなやかに舞い、来場者を魅了した。
輪島市門前町七浦(しつら)地区で能登麦屋節を受け継ぐ保存会の20人は、2会場に登場。舞台中央に臼を置き、きねと箕(み)を持ち伝統の唄と踊りを届けた。
夜は歩行者天国になった西町通りで「総踊り」があり、踊り手と観光客が一緒になって笠踊りと輪踊りを楽しんだ。総踊りの参加者には「むぎや節新歌詞」が染め抜かれた手拭いが配られた。
JR城端駅では、栄町が帰る人に踊りを披露する「見送りむぎや」を6年ぶりに復活させ、踊りと地方演奏で見送った。
祭りを主催する城端むぎや祭協賛会の川田征利会長は、節目に招いた能登麦屋節保存会について「曲もテンポも違うが、歌詞は共通する箇所があり、ルーツの一つだと改めて確認できた」と話した。北日本新聞社共催。