谷崎潤一郎がなじみの料理屋へ久しぶりに行った。昭和の初めである。小さな座敷にはそれまで燭台(しょくだい)があったが、ろうそくでは暗いと言う客が多く、電灯に代わ...

残り508文字(全文:588文字)