富山市八尾町仁歩(にんぶ)地区の八尾ほたるの里農村公園にある資料館「八尾ほたるの館」が、31日で閉館する。市が来館者の減少などを踏まえて決定。仁歩地区はホタルの里として知られ、乱舞を見られる夏は多くの人でにぎわう。
八尾ほたるの館は2002年に旧八尾町が開設。仁歩地区に生息するゲンジボタルとヘイケボタルの説明パネル、生息環境を再現したジオラマなどがあり、ホタルの乱舞を見に訪れる人が来館した。ピーク時には農村公園の年間来場者は1万4千人を超えた。
市町村合併後の06年度から農村公園に指定管理者制度を導入し、当初は第三セクターが、16年度以降は仁歩地区自治振興会が運営に当たった。同振興会の会員20人は、開館期間の4~10月に来館者を案内していたほか、ホタルが舞う6月には公園の駐車場整理をしたり、同館周辺で「ほたる祭り」を開いたりした。会長代理の西村憲隆さん(63)は「地域住民が集まる場でもあり、公園一帯は仁歩の中心だった」と言う。
ただ近年、ホタルシーズン以外の時期を中心に同館を訪れる人が減少。同振興会の会員の高齢化もあり、富山市は昨年夏、同振興会との契約が満了する今年3月末で指定管理をやめることにし、民間の譲渡先を探したが見つからなかった。市農業振興課は「来館者が減り、維持していくことは難しい」と説明する。
公園のトイレは引き続き利用でき、園内の飲食店「そば処(どころ)」も営業を続ける。同館の活用方法は未定。西村さんは「ずっと運営したかったが、仕方ない。公園の草刈りやトイレ掃除は続けたい」と話している。