共働き世帯の増加を受け、放課後児童クラブ(学童保育)の利用者が右肩上がりで伸びている。小学生らが放課後を過ごし、心身の成長にも大きな影響を与える場所だ。ただ、急激な需要の高まりに、受け入れる側の態勢は追いついていない。
専門家に聞くと、100人がすし詰め、職員は「スキマバイト」で募集といった信じられないような実態が浮かぶ。なぜ学童保育は過密になり、職員の待遇は改善されないのか。(共同通信=江森林太郎、禹誠美)
▽すし詰めの子どもたち
過密化、小一の壁、ワーキングプア―。学童保育の抱える問題を巡っては、近年こうした言葉がよく聞こえてくる。
イメージが湧きやすいのが「過密化」だ。学童保育には、規模や職員体制に関する国の基準が存在する。例えば、1クラスはおおむね40人以下、過密化を防ぐため、児童1人につきおおむね1・65平方メートルと規定する。
だが国の基準は、あくまで「参考」の位置づけでしかない。地域の実情に応じて異なる内容を定めることが認められているからだ。基準を大幅に超過するすし詰めの学童があっても、容認せざるを得ない。
国の基準は、1クラスに支援員は2人以上配置、開所時間についても、平日は1日3時間以上と定める。しかし、職員の待遇に関しては規定すらない。
▽専門家はどう見る
こうした状況を受け、学童保育の事業者でつくる団体が昨年11月、東京都に要望書を提出した。要望書をまとめた都学童保育協会の中山勇魚副会長に課題を聞いた。