2025年1月の大学入学共通テストで「情報I」の試験が初めて実施された。他の教科・科目と違って、対策のための過去問がない中で挑んだ受験生たち。試験後、SNS上では受験生とみられる複数のアカウントが「簡単すぎ」といった感想を投稿し、中には「楽しかった」との言葉も。そんな情報の試験は「プロの目」にはどう見えたか。問題の中身や出題意図を専門家に尋ねてみた。(共同通信=川嶋大介、河村紀子)
▽小中学校でもプログラミング教育
とはいえ、読者の多くは記者と同じように共通テストの前身の「大学入試センター試験」を受けた世代で、情報は入試になかったし、授業を受けたことがないという人もいるだろう。まずは情報の歴史や、入試科目になった経緯をひもときたい。
子どもたちが学校で学ぶ内容は「学習指導要領」に定められている。およそ10年に1度改定されており、現行の学習指導要領は小学校が2020年度、中学校が2021年度、高校は2022年度から実施されている。
その改定作業の際、人工知能(AI)の進化といった社会的背景から掲げられたのが「IT教育の強化」だった。
小学校の学習指導要領は「プログラミングを体験しながら、コンピューターに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付ける学習活動」と明記。いわゆる「プログラミング的思考」を育もうと、算数の図形の作図などで取り入れられるようになった。
中学校では「技術・家庭」の技術分野で、プログラミングに関する内容が充実した。
▽高校で必修化、そして入試科目に
では、高校ではどうなったか。そもそも、普通科で教科としての情報が新設されたのは2003年度。当時は「情報A」「情報B」「情報C」の3科目から1科目を選択することになっていた。