「夏休み」「早朝」「ハンコ」と聞けば、誰もが「ラジオ体操」を思い浮かべるように、地域や年代を問わず全国に定着している体操があるのは、世界どこを探しても日本だけでしょう。
普及した理由の一つが親しみやすいメロディーではないでしょうか。

現在の曲は3代目で、1951年に作られました。作曲したのは故服部正さん。46年から使われた2代目の曲も手掛けています。慶応大法学部卒ながら後に国立音楽大の教授を務めた経歴の持ち主で、黒澤明監督らの映画音楽や放送音楽で知られています。

では、1928年から18年にわたって使われた初代の曲の作曲者はご存知ですか。

武蔵野音楽大の初代学長、福井直秋です。上市町出身で富山ゆかりの音楽家でした。福井は、歌曲、器楽曲を数多く残し、小中学、高校の校歌もたくさん作曲しています。富山県内では、八尾高校や富山工業高校、富山市上滝中学校、上市中央小学校などの校歌が福井の作品です。

ラジオ体操と富山には意外な接点があるんですね。

最終回は9~13番の動きを説明します。動画で動きを確認してみましょう。
 

【9番】体を斜め下に曲げ胸を反らす運動:背中から足の裏側を伸ばし、呼吸器官の働きを促進


▽効果=正しい姿勢づくり、呼吸機能アップ

左足を横に開き、上半身を左下に2回曲げます。このときかかとは床にくっつけたまま、顔は上げずに足のももを見るようにしましょう。上半身を起こし、大きく息を吸って胸を開いてください。腕は手のひらを上に向けてねじるようにすると、胸が大きく開きます。以上の動作を2回繰り返してください。反対側も同様に動かします。胸を反らせるときは、ひじを伸ばし、大きく息を吸ってください。

【10番】体を回す運動:腰周辺の筋肉をほぐし、柔軟性を高める


▽効果=腰痛予防、正しい姿勢づくり、内臓器官の働き促進

両腕で円を描くように体を左へ大きく回します。ひじをしっかり伸ばしてください。2回繰り返したら、反対側も同様に動かしましょう。ひじを伸ばして体を回すことで、胴体全体がほぐれます。体を回す際は、タオルを両手に持つと、各部の筋肉や関節がよりしっかり動かせます

【11番】両足で跳ぶ運動:リズミカルに跳ぶことで全身の血行を促進


▽効果=血行促進、リズム感アップ、循環器の働き促進

両足をそろえて軽く4回跳びます。続いて腕を横へ上げながら2回跳び、さらに前を向いて、ひざを突き出すようにして大きく開脚跳びを行います。全体を2回繰り返します。前半のジャンプは軽く、後半の開脚跳びは大きくと、強弱をつけて行いましょう。

【12番】腕を振って足を曲げ伸ばす運動:呼吸を整える整理運動


▽効果=血行促進、肩こり予防、転倒予防

かかとを引き上げ、腕を交差した状態から腕を横に振って足を曲げ伸ばします。腕を振り戻して交差しながらかかとを落として上げます。2番と同じ動きですが、呼吸を整えるのが目的です。平常時の脈拍に戻るよう、腕や足をゆったりと動かしてください。もちろん、かかとの上げ下げは忘れずに

 【13番】深呼吸:体をゆっくりと平常の状態に戻す


▽効果=リラックス効果、正しい姿勢づくり

息を大きく吸いながら、腕を大きく上げます。続いて、息をゆっくりと吐きながら、腕を横から下ろします。腕の動きにとらわれず、肺の中の空気を入れ替えるように深い呼吸を意識しましょう。  

 

ちなみに、体重60キロの人が10分間ラジオ体操を行った場合、43~55キロカロリーの消費になるのだとか。速歩きと同じくらいの運動になります。「いつでも」「どこでも」「誰でも」できる手軽さがラジオ体操の魅力です。それでいて効果は抜群。良かったら試してみてください。
 

ラジオ体操第1を1~13まで通してご覧になりたい方は、下記の動画をご覧ください。

第1回の記事はこちら
第2回の記事はこちら

田中裕子(たなか・ゆうこ) 富山市在住、日本体育大体育学科卒、県内で初めて全国ラジオ体操連盟の認定を受けた1級ラジオ体操指導士。小中学校や地域で「ラジオ体操・みんなの体操」の普及に取り組むほか、富山市民大学での「リズム体操」など、幼児からお年寄りまで健康づくりのための運動指導に幅広く取り組んでいる。

 

全国ラジオ体操連盟では、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、講師の派遣は6月いっぱいまで行っていない。7月から3密を避けた状態での指導を予定している。