16日午前9時50分ごろ、富山市上今町の住宅の庭で、男性2人がクマに襲われ、重傷を負った。カキの木を伐採する作業をしており、男性(72)が引っかかれ、顔の骨を折って全治2カ月。もう一人の男性(59)は左太ももをかまれ全治1カ月。市や猟友会が現場付近をパトロールし、県や県警が防災ヘリコプターやドローンで探したが、クマは捕獲されていない。県内のクマによる人身被害の発生は今年7件目。

 県自然保護課や付近住民によると、被害に遭った2人は親戚。男性(59)の住宅敷地内で、計5人でカキの木の伐採や実を取る作業をしていたところ、近くにいるクマを発見。男性(72)がクマに襲われ、住人の男性(59)は助けに入り被害に遭った。

 現場は富山市南部の熊野川沿いの田畑に住宅が点在する地域で、近くには月岡小学校や福沢小学校、月岡中学校、片山学園がある。富山市によると、クマが本来生息していない地域とされる「ゾーン3」だった。

 周辺を確認した県自然博物園「ねいの里」野生鳥獣共生管理員の赤座久明さんによると、現場近くの田んぼで発見したクマの足跡は幅約8センチで、成獣とみられるという。

 県は16日、今年5度目のツキノワグマ出没警報を出した。県内で今年発生した人身被害は7件、死傷者は計9人となった。

 いずれも富山市内で起きており、熊野川周辺で相次いでいる。10月17日に同市江本で高齢女性が襲われ、死亡。同9日には同市栗山で女性1人が、同23日には同市安養寺で男性1人が負傷した。

 県自然保護課によると、県内でクマが出没した件数(目撃、痕跡)は16日午後6時半時点で570件となり、既に昨年1年間の約2・6倍となっている。