缶入り日本酒を展開するAgnavi(アグナビ、神奈川県茅ケ崎市)は、富山県酒造組合と連携し、県内9蔵元の地酒を1合サイズ(180ミリリットル)の缶にした「一合缶」の販売を始める。飲み切りやすく、持ち運びにも便利な缶入り日本酒で、幅広い世代の需要の掘り起こしにつなげる。

 中小の蔵元が日本酒を缶に充填(じゅうてん)する設備を整えるのは難しく、4合瓶や1升瓶などガラス瓶での販売が主流になっている。アグナビは2021年2月から設備を持たない酒蔵に代わり、自社工場で日本酒を充填。これまで全国100以上の蔵元と事業協力してきた。

 埼玉県にある充填工場に比較的位置が近いことなどから、富山県に着目。県酒造組合に協力を呼びかけたところ、魚津や玉旭(富山)、成政(南砺)など9蔵元が商品化を希望した。

 まずは9蔵元から1本ずつ、9缶入りの飲み比べセットとして、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で予約販売を受け付ける。価格は7700円(税・送料込)で、2750セットの販売を見込む。受け付けは8月31日まで。10月以降に小売店などでの販売も予定する。

 24日、県庁で玄成秀社長と横田美香副知事、桝田隆一郎県酒造組合長、同社を支援している一般社団法人・アグベンチャーラボ(東京)の荻野浩輝理事長が会見して説明した。玄社長は「富山県内で製造された日本酒の県外消費は約2割にとどまる。多くの方に富山の日本酒を飲んでもらい、来県するきっかけになればうれしい」と語った。