富山県産食材にこだわった朝食を提供する飲食店「FOUD(フウド)」が5月、高岡市末広町の旧文苑堂書店駅前店をリノベーションした分散型宿泊施設「SEKAI HOTEL Takaoka」の1階にオープンした。勝興寺の国宝指定や北陸新幹線の敦賀延伸などで観光客増が期待される中、朝から「富山らしさ」を感じてもらおうと始めた。多くの人が訪れ、住民からも好評を得ている。
店は5月1日に開店し、朝食は午前7時~同10時に提供する。メニューは「富山あさごはん」(1800円)のみ。一汁三菜を意識し、高岡市福岡町赤丸産のコシヒカリや、富山湾で水揚げされた新鮮な魚、市内の農家から仕入れた野菜などを使っている。
献立はその日の仕入れによって変わり、今の時季は射水市新湊産のサバを使った焼き物や、高岡市産ホウレンソウのごまあえなどが並ぶ。
店は「なかやす酒販」(同市)の中山士門社長(44)が別会社を設立して運営している。旅行が好きな中山社長が、旅先で朝からその土地のものを食べられる店が少ないと感じたことがきっかけになった。
地産地消を進め、食で観光客の満足度を高めようと、県産食材に特化した店を構えることにした。
伝統的な保存食「こんかイワシ」など、特産品を献立に加えることもある。調理担当の廣岡智香さん(43)は「地元の人でも『食べたことがない』という人がいた」と振り返る。店は昼の営業もしている。
今後、朝食イベントなども開いていく予定で、中山社長は「地元の人にも県産食材の魅力を再認識してもらいたい」と話している。