JA富山市(高野諭組合長)は、エネルギー商社の北酸(富山市本町、山口昌広社長)や東京大などと連携し、もみ殻を肥料や園芸栽培のハウスを暖める燃料として活用する実証事業を始めた。環境負荷の低減や資材高騰で苦しむ農家の支援につなげるほか、年間を通して野菜を生産できる体制づくりを目指す。
もみ殻は従来、農家が田畑で焼いて土壌改良に役立てるなどしてきたが、野焼きの規制が厳しくなり、活用が難しくなった。近年はJAのライスセンターから牛舎に無料で持ち込んで寝床として使ってもらったりしているが、用途は限定的で、処分に困っていた。
実証事業では、北酸が提供するバイオマスボイラーでもみ殻を燃やし、肥料成分や土壌改良材となる炭を生成。JA富山市の育苗センター(富山市月岡町)のハウスで、燃やして出た炭をポットの土に混ぜ、ラズベリーやコマツナを栽培する。10月にはハウス内にボイラーを設置し、燃やす際の熱も暖房として使う。
東京大は炭を入れたポットと入れなかったポットで、生育状況などがどう変わるかを分析し、金沢大はエネルギーの変換効率などを調査する。ハウスでの実証が軌道に乗れば、水稲農家にも炭を提供する方針だ。
3月に青ネギの生産部会を立ち上げ、重点的に生産に取り組んでいるJA富山市だが、冬場は露地栽培が難しく、年間を通した供給の実現も課題となっている。村井剛常務理事は「将来的にはボイラーの熱を使った青ネギのハウス栽培にも挑戦したい」と話している。