北陸銀行が10日発表した2023年3月期決算(単体)は、有価証券の利息配当金や株式等売却益の増加で増収となった一方、債券損益の減少や与信費用の増加により経常利益ベースで減益となった。本業のもうけを示すコア業務純益は、海外金利の上昇で外貨調達費用が増加し、前年比3・5%減の258億円と3年ぶりに減少した。
純利益は法人税などの減少で2年ぶりの増益。役務取引等利益はコンサルティング手数料の増収で12億円増の126億円だった。期末の貸出金残高は事業性や個人ローンが伸びて2・4%増の5兆1863億円、預金残高は1・9%増の7兆6803億円となった。
中澤宏頭取は同日、富山市堤町通りの同行本店で記者会見し、「引き続き厳しい環境にあるが、中期経営計画を着実に実行したい」と述べた。5日発生した石川県能登地方を震源とする地震への対応については「精いっぱいの支援をしたい」とした。
ほくほくFG経常減益
北陸銀行と北海道銀行の持ち株会社・ほくほくフィナンシャルグループ(FG)は10日、2023年3月期連結決算を発表した。海外金利の上昇に伴い資金調達費用が増加し、経常利益は前年比12・8%減の263億9200万円だった。
純利益は、税金費用の減少などから4・4%増の214億3500万円。2行合算のコア業務純益は2%減の450億円となった。配当は株主還元の充実を目的に期末一括で1株当たり2円増配し37円とする。
24年3月期は経常利益が1・5%減の260億円、純利益が20・7%減の170億円を予想する。配当は期末一括で37円を見込む。
同日の取締役会で、500万株を上限に自己株式を取得することを決めた。発行済み株式総数(自己株式を除く)の3・9%に当たり、取得価格の総額は上限40億円。株主への利益還元と機動的な資本政策につなげる。12日~8月10日に市場で買い付ける。
就任1年の中澤頭取「まずまず及第点」
昨年6月に就任した中澤頭取は1年間を「役職員一丸でスピード感を持って取り組み、さまざまなことを前倒しでできた」と振り返り「まずまず及第点かな」と笑みを見せた。
FGの改革に力を入れており、優秀な人材確保・定着に向けて人事制度改正と基本給を底上げするベースアップを行う。不確実性を増す国際情勢も無視できないとし「リスク対応を磨き、盤石の態勢を整えたい」と強調した。
中期経営計画に掲げる環境、デジタルトランスフォーメーション(DX)など重点戦略が順調に進んでいると評価する一方で、「目標を見直すことも必要」と指摘。新たな事業領域を視野に「まだまだ挑戦していく」と力を込めた。
ほくほくフィナンシャルグループ人事(6月27日)▽執行役員 大塚直久
北陸銀行人事(6月27日)▽監査役 沼田康至▽執行役員 炭谷勝、前田定和▽専務執行役員 小林正彦▽常務執行役員 森田勝也▽退任 常勤監査役沼田雅博、常務執行役員岩井典宏