板画家、棟方志功の創作の全貌を伝える企画展「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」の開会式と関係者向けの内覧会が17日、県美術館で行われた。国内外で高い評価を得た板画の代表作や疎開した福光町(現南砺市)に残る貴重な襖絵(ふすまえ)、青年期の油彩画などを一堂に集めて展示。挿絵や装丁を手がけた本なども並び、参加者は多岐にわたる制作の歩みをじっくりとたどった。一般公開は18日から5月21日まで。
棟方は青森、富山、東京を拠点に活動し、それぞれの地の自然や文化に刺激を受けながら作風を変化させていった。
企画展は幅約13メートルの板画の大作「大世界の柵『坤(こん)―人類より神々へ』」や国際的に注目を集めた代表作「二菩薩釈迦十大弟子(にぼさつしゃかじゅうだいでし)」、ベストセラーとなった谷崎潤一郎の小説「鍵」の挿絵など、ゆかりの地に残る多彩なジャンルの作品群で構成した。一心不乱に板木に向かう棟方を映したテレビ番組も紹介している。
開会式で、同展の学術協力を担当した棟方の孫、石井頼子さん(66)=南砺市=が「富山の地で、棟方は短いながらも大切な時間を過ごした。その場所で展覧会を開けて、棟方も喜んでいると思う」とあいさつした。
企画展は県美術館と北日本新聞社でつくる実行委員会と県主催。