富山県砺波市栴檀山(せんだんやま)社会福祉協議会と栴檀山自治振興会による地域食堂「せんだんやまのコスモスカフェ」が2日、同市栴檀山農村集落センターでオープンした。お年寄りが気軽に集い、認知症の予防にもなる場にしようと、毎週木曜に元気なシニア世代がうどん1杯を100円で提供する。子どもの孤食を防ぐ「子ども食堂」ならぬ、高齢者が支え合って地域から孤独をなくす「お年寄り食堂」だ。
山間部にある栴檀山地区は高齢化率が5割を超え、車の運転免許を自主返納して出かけることができない高齢者や、1人暮らしの高齢者が年々増えている。
住民が交流する場として「お楽しみ会」を月1回開いてきたが、新型コロナウイルスの影響で中止に。今年に入って住民の孤独死が起きたこともあり、栴檀山民生委員の吉田尚史地区代表(49)らが立ち上がった。地元の社会福祉協議会や自治振興会で協議を重ね、食堂を開くことにした。
地元の「世話好き」な苗代(のしろ)信子さん(80)ら女性有志7人がチーム「コスモスレディー」を結成し、調理や配膳を担う。苗代さんは「今まで栴檀山で働き、お世話になった。次は地元の人に恩返ししたい」とボランティアで活動する。
初日は50食を用意し、約30人が訪れた。参加した長田ゆり子さん(96)は「懐かしい顔が集まりうれしい。外に出る機会が少ないので、また来たい」と笑顔を見せた。
同センターでは毎週木曜に砺波総合病院のへき地診療が行われ、社会福祉協議会の相談窓口も開かれることから、食堂開設日も同じにした。「栴檀山の福祉の日」として地区住民に来場を呼びかける。吉田地区代表は「おかずの持ち込みも歓迎。それが会話のきっかけになり、1人でも引きこもりの高齢者が減ればいい」と話した。
カフェは毎週木曜の午後0時半~同1時半に開き、地区外の人も利用できる。