ベストブレッドとようかんパン

 高校の購買で売っていたあのパン、今でも買えるかなー。富山で長年愛されている懐かしの味を訪ねる「地元愛されメシ」。今回は、読者から寄せられた思い出の味を訪ねた。見た目はちょっと大きなカステラのようなパン、そう!富山製パン(富山市秋ケ島)の「ベストブレッド」だ。

カステラ+揚げパン+チョコ+パン

 そもそも、ベストブレッドって何? 富山製パン3代目の中屋大(ひろし)社長(48)によると、上からカステラ、揚げパン、チョコクリーム、パンの4層構造となっている。甘いものが盛りだくさんだ。

 

 「作るのに手間がかかるんです。大量生産という訳にはいかなくて…」と中屋社長は語る。現在の生産量は1日で160本くらいだという。

子どもたちのために

 中屋社長いわく「ベストブレッドの発売は少なくとも50年前」だが、正確な時期は分からない。半世紀前といえば昭和47(1973年)ごろだが、もっと前に発売された可能性もある。

 ベストブレッドを考えたのは中屋社長の父で、2代目の故宗嗣(むねつぐ)さんだった。当時、パン工場は富山市安住町にあり、店が舟橋南町にあった。近くに富山中部高や芝園中があるので、中高生が帰りに寄り道して、パンを食べていたそうだ。

 

 宗嗣さんはいつもにこにこして、周りの人を喜ばせるのが好きな人だった。昨年末に亡くなったので真相は分からない。中屋社長は「子どもたちに甘くてずっしりと食べごたえのあるものを食べさせたいという思いがあったのかもしれない」と考えている。

北海道でパン学び大正に創業

 富山製パンの歴史は古い。創業は大正13(1924)年。創業者は中屋社長の祖父、故宗一(そういち)さんで、北海道に行ってロシア人にパン作りを学んだ。その後、

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