選考経過

読み手を引き込む

 第14回北日本児童文学賞は、小学校高学年までの読者を対象にした作品(400字詰め原稿用紙30枚以内)を募集し、県内外から前年を97編上回る438編が寄せられた。

 応募者の年齢は12~93歳と幅広い。活字離れが進む半面、インターネットの普及によって手軽に表現や発信ができる機会が増えている。いじめや虐待など子どもを取り巻く問題が顕在化していることも児童文学への創作欲を高めた背景の一つと考えられる。

 1次選考は56編が通過した。2次選考は富山大名誉教授の宗孝文氏、日本児童文学者協会員の伊藤真智子氏、富山大教授の呉羽長(すすむ)氏が担当し、20編に絞り込んだ。

 2次選考を通過した作品は、かっぱにまつわる物語や電車でハプニングに見舞われた少年など、舞台設定が多彩だった。転校や席替えなど学校生活を描いた作品も多かった。人の生と死や自然との関わりを題材にした作品は、読み手の心に訴え掛けるものがあった。

 選考委員からは「情景描写が巧み」「文章展開がうまい」などと評価する声が聞かれた。一方で「教訓的、指導的なものも多い」「手書きの字が不鮮明で読みにくい」との指摘もあった。読者を物語の世界へ引き込み、楽しませる創作力が求められている。

 県内からは21編の応募があったが、2次選考を通過したのは2編にとどまった。富山の風土を生かした心躍る力作が誕生し、郷土の児童文学振興の起爆剤になることを期待したい。

 (文化部・高野由邦)