クリーンみず穂の最年少、牧詩織さん(21)と
最年長の「スミちゃん」こと加納澄子さん(76)は仲良しです。
里芋の皮むきをしながらおしゃべりしたり、
作業の合間に並んで腰を伸ばしたり。
いつもどんな話をするのか、牧さんに聞いてみました。
「昔話を聞かせてもらいます。田んぼで産気づいたとか、面白いリアルな話です。
わたしは家族のこととかを話してます」
スミちゃんは牧さんのことを「おらの孫じゃから」、
牧さんはスミちゃんのことを「本当のおばあちゃんみたい」。
家族のような2人。見ていてあったかい気持ちになりました。(荒木)
朝日町のクリーンみず穂は、
デイサービス施設「カエルの子」が月1回開く「カエル市」に
旬の野菜を安く提供しています。
野菜をみつくろうのは社長の柳沢伸一さん=写真左=です。
上の写真は、「カエルの子」の高橋きみ子さんが
ワゴン車で野菜を取りに来たところ。
「ああ、このダイコン立派ね、キャベツもいいね」
あいさつ代わりに品物をほめた後、高橋さんが続けざまに注文を付けます。
「里芋はないの? 長ネギは? あと黒米もね!」
下町育ちの高橋さんの勢いに押され気味の柳沢さん。
「ハキハキしとるわ」と苦笑い。
柳沢さんは、「カエルの子」の開業前から
高橋さんの相談に乗ってきました。開業後も何かと応援しています。
「最近じゃ、どっちが世話しとるか分からんような顔しとるけどね」
ぼやきながらも気前よく野菜を手渡していました。(荒木)
1年半ほど前の北日本新聞に、こんな記事が載りました。
一昨年11月に朝日町で開かれた「とやま帰農塾」を紹介しています。
東京や石川からの参加者が農作業やみそづくりを体験する様子を伝えています。
記事の写真に高橋きみ子さん(53)が写っていました!
連載第6部で紹介しているデイサービス施設「カエルの子」の高橋さんです。
右端の女性がそう。当時はまだ東京に住んでいました。
友人の渡辺幸恵さん(63)=写真左端=もいます。
この帰農塾がきっかけで朝日町に移り住んだという2人。
楽しそうな様子が写真からも伝わってきます。
記事は、「朝日町に住みたくなった」という高橋さんのコメントで結ばれています。
(荒木)
クリーンみず穂の南部一成さん(30)の特技はスキーです。
地元・大家庄のスキークラブに所属し、5年ほど前から朝日町の小学校3校でスキー教室を指導しています。
その一つ、あさひ野小学校のスキー教室が2月にありました。会場は新潟県糸魚川市のスキー場。南部さんらクラブのメンバーが児童約90人を指導しました。
南部さんは青のスキーウエア=写真右。初心者の6年生3人に、スキー板を「ハ」の字にして滑るボーゲンを教えていました。

最初は転んでいた子どもたちも、少しずつうまく滑れるようになりました。
「子どもに教えるのは好きっすね。上達していくのがよく分かるし」
南部さんがうれしそうに話してくれました。(小林)
クリーンみず穂の社長、柳沢伸一さん(67)の
トレードマークが緩めのパンチパーマなら、
最年少の社員、牧詩織さん(21)のトレードマークはこれです。

何だか分かりますか?
答えはスカイブルーのウインドブレーカー。
胸に「Kubota」のロゴがあります。
そう、農機メーカーの「クボタ」です。
明るい色が彼女のイメージにぴったり。
本人も気に入っているようで、取材に行くといつも着ています。
「これなら汚れても構わないし」とも。
事務所に置いてあったのをもらって、ずっと使っているそうです。
きっと業者の粗品のようなものだったのでしょう。
確かにおなかの辺りが茶色く汚れています。
入社から1年。つらいことも乗り越えてきた牧さん。
ウインドブレーカーの汚れは彼女の頑張りの証しでもあるのです。
(光安)
クリーンみず穂の牧詩織さん(21)の仕事は、
農作業だけではありません。
農協の直売所や地元の温泉などに
野菜や加工菓子を配達する仕事もあります。
配達に同行させてもらいました。
軽ワゴン車で小川温泉元湯「ホテルおがわ」へ。
「こういうお出掛けって気分転換になります」
山道を走りながら牧さんが言います。
配達先の人たちとの会話も楽しみの一つ。
「『これ、また欲しかったがよね』って言われるとうれしいし」
ホテルには黒米と豆菓子を届けました。

フロントの男性に、牧さんのいつもの仕事ぶりを聞くと、
「生き生きしていていいですね!」とのことでした。
(荒木)
朝日町の農業法人「クリーンみず穂」の目印は、
チューリップとラジコンヘリが描かれた作業所です。

社名の由来を社長の柳沢伸一さん(67)に聞きました。
「クリーン」は「きれいだから。グリーンちゅうのはよくあるしね」。
「みず穂」は「昔から言うじゃない、日本は『瑞穂国(みずほのくに)』って」
とのこと。
会社をつくる3年ほど前から決めていたそうです。
「瑞穂国」は、「みずみずしい稲穂が実る国」という意味で、
日本の美称でもあります。
第6部「田園のシンフォニー」は「瑞穂」の実る朝日町が舞台です。
(荒木)
薬剤師の野上功二さん(30)=富山市婦中町上田島、写真左から2人目=の結婚式は
5月4日、富山市木場町の式場で行われました。
2次会で歌を披露した総曲輪ビリヤードのオバチャンこと支配人の水野田鶴子さん(80)は
ずいぶん緊張した様子でした。
人前で歌うのは30年ぶりだったそうです。
歌ったのは「きよしのズンドコ節」。
歌詞カードを手に、つっかえつっかえしながらも熱唱。
会場から大きな拍手が送られました。
バックコーラスはビリヤード場に通う野上さんの友人6人。美しい(?)ハーモニーを響かせながら、オバチャンを一生懸命サポートしていました。

祝福を受けた野上さんはうれしそう。歌の後、出席者に向かって「オバチャン、80歳なんですよ。こんな元気な80歳はいないじゃないですか。素晴らしいことだと思いませんか」と興奮気味に声を上げていました。
オバチャンと野上さんたちとの世代を超えた友情はちょっといい感じでした。街なかにあったかい人情が息づいている県都・富山市もちょっといい感じですね。(寺田)
富山市出身のカメラマン、山下裕司さん(31)=東京都世田谷区=は
帰省した際によく総曲輪ビリヤードに立ち寄ります。
下の写真は昨年のおおみそかに店を訪れた時のものです。
オバチャンこと支配人の水野田鶴子さん(80)に
カメラを向けています。
「わたしの遺影を撮っといてよ」というオバチャンのジョークに応えて
パチリ、パチリ、パチリ。
この日は、取材中のわたしと寺田記者も
被写体になってしまいました(写真は後でメールで送ってくれました)。
いつもカメラを持ち歩いているという山下さん。
被写体にレンズを向ける生き生きとした様子から、
写真への情熱が伝わってきました。(光安)
「富山大好き」という萩原純子さん(28)=富山市=は、
高校時代までは「東京に行きたい」とばかり考えていたそうです。
魅力に気付いたのは東京で生活し始めてから。
帰省した際に友人と一緒にスキー場や観光地に車で行き、
「富山って結構いい所じゃないかな、自分が知らなかっただけなんだ」
と思ったそうです。
車で出掛けるようになって行動範囲が広がり、
印象が一変したようです。
「やっぱり、格段に富山の見え方が違ってきましたね。
おいしいお店とかもいっぱいあるし」
言葉に実感がこもっていました。
車がないと不便だと言われる富山。
もしかすると、
若い世代の中には、
古里の魅力を知らないままに「つまらない所」と思い込んで、
県外に出て行ってしまう人も多いのかも。
萩原さんと話していて、そんなことを考えさせられました。(光安)