

元日からスタートした連載「富山に生まれてよかった」がきょう14日で終了しました。県内各地を歩き、東京を歩き、いろんな人に富山への思いを聞き続けた半年余り。古里の価値を言い表す素敵な言葉や心に残るフレーズと出合いました。
今回が取材班として最後のアップです。取材して特に印象的だった、富山に生まれた人の言葉を紹介します。題して「ふるさと語録」。記者4人のコメントとともに、連載を振り返ってもらえたらと思います。
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=第1部「東京ララバイ」
東京在住のイベント会社経営、田之下雅之さん(40)
都会で懸命に生きている地方出身者の「望郷の念」です。古里を離れた年月の重さが感じられ、胸が熱くなりました。(小林)
=第2部「山里のバラード」氷見市触坂の農業、上野達也さん(40)
古里に戻って失敗すると、帰る場所がなくなる。Uターンには、そんな怖さもあることを知りました。古里を離れると、戻るのに勇気が必要になることもあるんですね。(寺田)
「毎日、あっからか~んとしとるだけ。だやければ寝っ転がっとるし」
さすが74歳、達観の境地。晴耕雨読の「田舎暮らし」の価値を言い当てた、まさに至言だなあ。(光安)
=第3部「城端ラプソディー」
南砺市城端のアニメ会社専務、菊池宣広さん(46)
この反骨心に共感!!します。「地方だから、どうせ無理」ってあきらめてしまうのは、実は挑戦しないことへの言い訳なのかも。(荒木)
=第4部「生き方わたし流」
東京在住のお笑い芸人、長江もみさん(35)
「富山ネタ」で勝負しようと思い至った芸人の言葉です。古里は誰にとっても「原点」。困った時や迷った時に立ち戻ると、進むべき道が見えてくるのかもしれませんね。(寺田)
=第5部「県都のセレナーデ」
富山市の会社員、萩原純子さん(28)
若い女性らしい表現ですね。確かに古里にいると、何かと自分を甘やかしてしまうことがあります。それが居心地の良さであり、ちょっと反省させられるところでもあり。(光安)
「遊んどる田んぼを見ると耕したくなる。水田(みずた)にしたくなるがやちゃね」
=第6部「田園のシンフォニー」
朝日町の農業法人社長、柳沢伸一さん(67)
住んでいる地域に愛情と責任感がないと出てこないフレーズだと思います。美しい言葉です。(荒木)
=第7部「東京ララバイ、春」
東京大学4年、庄司健太君(21)
熱い! 格好良い! でも、意味が分からん! それがいいんです。富山を誇りに思う若者たちと出会えて本当によかった、うれしかった。富山に生まれてよかった!!(小林)
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連載とブログをご愛読いただき、ありがとうございました。(取材班一同)
☆追伸☆ 20日の北日本新聞に「読者の声」特集を掲載します。ぜひ、ご覧ください。

連載の最終回で取り上げた飲み会で、庄司健太君(21)の部屋に並んだ珍味は、東京・有楽町の「いきいき富山館」で買ったものです。時間を割いてくれる明倫学館の寮生たちに、古里の味を楽しんでもらいたかったからです。
なのに―。
そのささやかな手土産が、彼らをちょっぴりがっかりさせてしまうことになりました。
寮に戻り、買ってきた土産を手渡した時のことです。
かまぼこ、シロエビせんべい、干しアマエビ...続いてある物を袋から取り出した瞬間です。
「おおー、ますずしや!」
ひときわ大きな歓声が上がりました。
でも、それはすぐに落胆の声に変わります。
「あっ、違うんだ」「そうなんだ...」
その箱は確かに一見、ますずしのようですが、
実は「ますずしもどきクッキー」=写真。
本物のますずしを買ってくるつもりでしたが、
東京でも人気商品らしく、売り切れていたのです。
そこで、せめて「もどき」でもと思ったのが〝裏目〟に出てしまいました。
それでも寮生たちは
「初めて見た」「どんな味やろ?」「うまい!!」
と口々に言いながら食べてくれました。
寮生をはじめ東京で暮らす県出身の学生たちと知り合ったのは、第1部「東京ララバイ」の取材を始めた昨秋。以来、未曾有の厳しい就職戦線に立ち向かいながら、わたしたちの取材に快く応じてくれました。
記事にも書いたように、古里を率直に語るのはとても勇気のいることです。
掲載された記事への反応に、時にひるんだりしながらも、最後まで本音を聞かせてくれました。感謝しています。
今度会う時は、必ず、ますずしを持参したいと思っています。(小林)

明倫学館の寮母、安井邦子さん(64)と出掛けた新宿御苑は、都内有数の桜の名所です。
苑内には65種1300本の桜があります。1月下旬に花が咲くカンザクラから始まって5月上旬のカスミザクラまで、半年近く桜が楽しめるそうです。
わたしたちが訪れた4月中旬は、チョウシュウヒザクラや八重桜のイチヨウが見ごろを迎えていました(写真)。
桜の美しさや人出の多さに驚く一方で、東京への対抗心もわいてきました。
「遊覧船から眺められる松川の桜なら、新宿御苑に負けない風情がある」
「人が少ない分、富山は落ち着いて桜が楽しめる」
心の中で、勝手にあれこれ理由をつけては富山に軍配を上げていました。何を見ても、ついつい古里と比べてしまうという邦子さんの気持ちもよく分かりました。(寺田)

「あんたに見せたいものあるがやちゃ」
明倫学館(東京・小石川)に滞在中のある日。塾長の安井一朗さん(70)=富山市出身=がこう言って、寮の玄関に連れていってくれました。
下足箱の上にバラが一輪=写真。
花びらの色がちょっと、紫がかっています。
「どうや、見たことない色やろ?」
安井さんは自慢げです。
花は、サントリーが世界で初めて開発した「青いバラ」。
紫に見えますが、色素の95%以上が青。昨年末に商品化されたばかりです。
古希(70歳)の祝いにと、教員時代の教え子から贈られたものです。
「心遣いがうれしいがやちゃ」「いい子たちをもたしてもろた」...。
話が止まらない。
富山高校、富山南高校などで教壇に立った安井さん。
結婚式に招かれたり、仲人を頼まれたりと、教え子たちから今も慕われています。
教員時代の思い出も多い古里。
「なーん、帰りたない」と言うのは、照れ隠しでもあるのでしょうね。(小林)

「お祈りメール」。就職活動中の学生の間で、こう呼ばれるメールがあります。
面接や入社試験を受けた学生に、企業から送られる不採用通知です。
「今後の就職活動のご成功をお祈り申し上げます」「貴殿のますますのご健闘をお祈り致します」といったように、不採用を伝える言葉の後は決まって「お祈り」で結ばれています。
明倫学館の庄司健太君(21)=富山市出身=も、いくつかの企業からお祈りメールをもらいました。
「丁寧な言葉遣いで書かれていて、かえってへこみますね」と話していました。
不採用の通知を連想させる「祈る」という言葉自体も、学生には禁句になっているようです。
昨年秋、連載第1部で取材した北島江里加さん(21)=東京女子大4年、富山市出身=に「就職活動の健闘を祈ってますよ」と声を掛けると、
「それは、学生に言っちゃ駄目な言葉なんですよ」
とやんわりと言われ、慌てて謝りました。(小林)

東京でちょっとしたハプニングがありました。あす6日から始まる連載第7部「東京ララバイ、春」の取材で上京し地下鉄に乗った時のことです。
通勤ラッシュが一段落する午前9時半ごろ。地下鉄のホームに着くと、目当ての列車が発車するところでした。小林記者と2人で慌ててダッシュ。最後尾の車両に飛び乗りました。
間に合ってほっとしたのもつかの間。何か変です。まわり中から突き刺すような視線。
男2人で顔を見合わせていると、車内放送が流れ始めました。
「ただいまをもちまして、朝の女性専用車の時間を終了させていただきます」
「もしや」と思って車内を見渡すと、案の定。乗っているのは女性ばかり。窓には「女性専用車」のステッカー=写真。ようやく、視線の意味に気が付きました。
気まずいやら、恥ずかしいやら。
「ここ女性専用車両なんだって」「えっ!、そうなんですか」
わざと周りの女性に聞こえるように、言い訳めいた会話を交わす羽目になりました。
女性専用車は、ラッシュ時の痴漢対策として都内の鉄道各社が設けています。仕事やプライベートで時々上京する地方出身者にとって、東京は何かと戸惑うことが多い所です。
あすからの第7部をどうぞお楽しみに。(寺田)

朝日町を取材していてよく目にしたのが、
田んぼの向こうに山々がそびえる美しい風景です。
町のあちこちで見ることができます。
第6部・最終回の写真で紹介した群青色の日本海と同じくらい印象的でした。
クリーンみず穂の近くで撮影したのがこちら。
社長の柳沢伸一さんによると、
写真の右奥にある山は、その姿が女性のように見えることから、
「おんな山」と呼ばれているそうです。
「女の子が寝とるように見えるやろ。左に顔あって、おなかがあって、
まん中が乳ですわ」
事務所の前で指さしながら説明してくれました。
田んぼと海や山が織りなすスケールの大きな風景は、
まさに「田園のシンフォニー」。
豊かな自然も、そこで暮らす人々も、とっても魅力的な町でした。(荒木)

近所の人も加わって開かれたクリーンみず穂のお花見。
南部一成さん(30)=写真左から2人目=は「焼き奉行」として大活躍でした。
炭火の前で牧詩織さん(21)=写真左=ら仲間のためにせっせと肉を焼き続けました。
「バーベキューの時はいつも焼いてますね。焼いとらんと落ち着かんがです」とは本人の弁。
ですが、現場のリーダー格としての気遣いもあるのでしょう。
「食べっしゃいよ」「ジンギスカンうまかろ」「牧、この肉持ってけよ」
同僚たちに盛んに声を掛けていました。
もう一人、花見の間、気配りを欠かさなかったのは社長の柳沢伸一さん(67)です。
「寒いわ」と女性陣から声が上がると、電気ストーブを動かし、
ブレーカーが落ちると、延長コードを持って行ったり来たり、
「食べとるけ?」「飲んどるがけ?」と、社員や近所の人にビールや焼きそばを勧めたり。
田植えに向けた「景気付け」という花見には、社員や地域の人への感謝の気持ちも込められているようでした。(光安)

